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東京都台東区にある

浄土宗の寺院です。

浄土宗 真行院
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お経をお唱えしよう!第日常勤行式④「懺悔偈」

 

 今回日常勤行式④で紹介するのは「懺悔偈」という偈文で、「さんげげ」と読みます。よくキリスト教では懺悔とかいてざんげと読むのはご存知かと思いますが、仏教ではこれをさんげと読みます。懺悔偈は善導大師が書かれた『法事讃』という書物の中にあります。

 

〈懺悔偈〉

我昔所造諸悪業

(がしゃくしょぞうしょあくごう)

皆由無始貪嗔痴

(かいゆむしとんじんち)

従身語意之所生

(じゅうしんごいししょしょう)

一切我今皆懺悔

(いっさいがこんかいさんげ)

 

〈書き下し〉

我れ昔より造る所の諸々の悪業は

皆、無始の貪嗔痴による

身語意より生ずるところなり

一切我れ皆懺悔したてまつる

 

〈意訳〉

私が昔より作ってきたもろもろの悪い業は、

すべてはるか昔からの私の貪り・怒り・愚かさからで、

私の身での行い、口で話したこと、心で思っていたことから生じたものです。

今私はその悪業すべてに懺悔いたします。

 

悪業・・・悪い業。業とは現代でスピリチュアル等でいう内面的なパワーの様な者ではなく、簡単に言いますと、因果関係のある行為の事をさします。良いことをしたから良いことが起きる。今回で言うところの悪業は、心口(語)意の三業からの悪い事をしたことによる悪い結果という訳です。

貪嗔痴・・・仏教ではこれを三毒と言います。三毒とは人間が捨てるべき三つの欲望を三つの毒に例えたもので、「貪」は文字通りむさぼり、必要以上に求める心。「嗔」は怒りや憎しみの心。「痴」は怠けるおろかな心をさします。

 

 日常勤行式①「香偈」で身を清め、日常勤行式②「三宝礼」で三宝に帰依し、礼拝し、日常勤行式③「三奉請」で仏様を道場にお迎えしたところで、今回の懺悔偈でもって、私たちが日頃犯している罪を反省し、懺悔します。

 「罪」や「悪」といっても自分は人を殺している訳でもないし、ものを盗んでいる訳でもない、ましてや警察に捕まり裁判にかけられた人ではないというかたがほとんどだと思います。しかし、仏教でいうところの罪というのは、法律における犯罪をした等はもちろん、それだけでなく、陰で悪口等を言ったり、心の中で悪い事を考えても同じく罪になるのです。それは仮に相手が悪い事をしていても、ニュースに映る犯罪者を見て「あいつは悪いやつだ」と言ったり、普段の仕事や勉強や生活で「めんどくさいし手をぬいちゃおうかなぁ」と思ったりしても同じく罪なのです。これは誰でもついついやってしまいますよね。またそれに加えて人間界においてのやってはいけない罪犯をした人までも仏様は救いとってくださいます。ですからここで仏様を目の前に、そしてこれからありがたいお経を読んで、お念仏を称える前に一度懺悔するのです。

              

 法然上人は、自らのことを「罪悪生死の凡夫」と言いました。「罪悪生死」とは、輪廻の中で罪や悪をおかしてしまい、それにより輪廻のなかをめぐりめぐって今に至ってると戒めました。私たちも胸に手を当てると、「AさんにBさんの悪口いっちゃったなぁ」とか、「Cさんに会うのがめんどくさくて、嘘の理由言って断っちゃったなぁ」とかあると思います。そういったひとつひとつの罪を懺悔偈の偈文を唱えて懺悔し、阿弥陀様のお救いを求めて南無阿弥陀仏と十回お称えするお十念をお称えします。

           

 そしていよいよ自身の心が整い、仏様がお説きになったお経をお唱えします。次回は開経偈をお唱えしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 

                           合掌 南無阿弥陀仏

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